ハイスクール・カンパニー
「えっと、理貴さん。ちょっと重いです」
揺すっても反応がない。
理貴はじっとしてるけど、理貴の顔が間近にある。
理貴は、伊都に無理やりキスしたことをわびる代わりに、わざわざ手間のかかる料理を用意して、伊都に嫌われないよう心をつくている。必要以上に気を遣っていた。
そんなことしてもらわなくていいのにと伊都は思う。
伊都の首筋に理貴の吐く息がかかる。
理貴が本当に眠ってしまったようだ。
理貴の体が力を抜いていて、伊都の上にのしかかる。
細く見えるのに、ずっしり重い。
伊都は、体を起こして理貴の体をゆっくり膝の上におろした。
理貴は伊都のひざの上に頭を抱えられたまま、規則正しい呼吸を続けている。
理貴はぐっすり眠っていて、
伊都の家のまえにタクシーが着いても、目を覚まさなかった。
「どうされますか?」
「運転手が聞いた」
本当に眠れるのは、1日のうちほんの少し、そう理貴は言っていた。
「もう少し、このままで」
玄関のドアが開いて、家の中から誰か出てきた。