ハイスクール・カンパニー
理貴は、隣に座っているユウに話しかけた。
ユウの父親は、政治家だ。代々、政治家や、政府の要人を務める家系に生まれている。
けれど、ユウが割と自由に生活できるのも、母親が正式な妻ではないからだ。
ユウの父は、どうしたいのか、本人に任せると言ってあるようだ。
その気があれば、父の秘書について政治家の修行をすればいいと言われている。
「お前、将来、政界に行く気はあるのか?」
念のため、理貴は確認した。
「ないよ」
ユウの答えは、一貫していた。
ユウの父は、現役の大臣をしている。
だが、彼の兄が、既に父親のあとを継ぐために、父親のもとで秘書をしている。
だから、ユウは、自分がやると言わなければ、父親の職業と関係無い人生が送れる。