ハイスクール・カンパニー
「なに、この人の集まりは?」
「さあ、抜き打ちの身だしなみチェックかな?」
伊都は適当に答える。
「それなら、朝やるでしょ」
「そっか」
二人が門を通り過ぎたところで、黒ずくめの男に声をかけられた。
「やあ、久しぶり」
伊都が、一瞬、誰?って言う顔をしたので、男が顔を近づけた。
「俺、もう忘れた?」
理貴のマンションで見たときは、何となく場にふさわしく雰囲気に馴染んでいたけれど、高校生に混じって黒ずくめの服で来られると、やっぱり怪しく見える。
「来栖さん!!どうしたんですか?」
来栖の顔をまじまじと見て、伊都は誰だかやっとわかった。
体に吸い付くようなジャケットで、パンツもぴったりしている。
サングラスなんかかけてるけど、この人も一応高校生だ。
「ごめんね、
ちょっとこの子に用があるから借りていっていいかな?」
「く、来栖さん……はい」沙希が固まっている。
来栖さんが微笑むと、周りからため息が漏れた。
「ありがとう。じゃ、行こうか」
来栖が伊都の背中に手を添えた。
「ちょっと、待てよ」
そういうと、うちの生徒らしき男の子が、伊都と来栖の前に立ち進路を邪魔した。