ハイスクール・カンパニー
「うちの会社って、葵と俺と理貴が始めたって言うのは知ってるよね」
「はい」そのことは、誰かから聞いて知っていた。
「理貴も俺も高校を卒業したら、アメリカに戻るつもりでいる。そのことは?」
伊都は、目を丸くした。
「何も聞いてません」
どうしよう。一年じゃ、それほど稼げないかも。
「だから、メンバーになっても、活動は、理貴が会社にいる間って言うことになる。理貴がいなければ、会社が成り立たないからね」
「はい」
「それから、もう1つ。これは、内藤家の意向で、理貴と個人的な付き合いになるのは、控えて欲しい。もちろん、理貴の個人的な要求に応えるのは君の勝手だが、そのことに対して金銭的な要求は認められない。これについては、内藤家から承諾書にサインしてもらうよ」
「金銭的要求なんて、そんなつもりはありません!」
「みんな最初は、そういうんだ」
「理貴さんに、近づくなといいたいのですか?」
「そうしたいところだが、理貴の行動まで制限出来ないからね。でもね、理貴の周りにいるということは、普通の人には想像できないことだ。理貴の子供でもできたら、君の人生も変わってしまうし、本当に面倒なことになる」
「可愛そうですね。理貴さん。何も自由にはならない」
「可哀想か。けど、普通の人に無いものが手に入る」
「そうでしょうね」
「それさえクリアしてくれれば、俺も君のメンバー入りを承認する」
しばらく考えて伊都は答えた。
「よろしくお願いします」
「じゃあ、契約成立だね。あとで書類を用意するよ」
「はい」