ハイスクール・カンパニー
伊都が、案内されたのは、普段応接室と呼ばれる部屋で、顧客との打ち合わせや、本当に親しい友人が理貴に会いに来たとき使う部屋だ。

伊都が中に入ると、理貴は、書類のチェックをしていた。


理貴は、伊都に座るように言った。


「最初に、会社のシステムを少し説明しておこうと思って」

「はい」

「うちの会社は、個人の働きによって得た収入から、決められた割合によって給料が支払われる。

伊都の場合はスポンサーがついた動画の再生回数につき、いくらと最初に契約する。

あと、企業と契約するような仕事ができるようになったら、その時契約条件を見直そう。

その際、うちも把握したいから、前もってユウに伝えておくように」

「はい」

「分からないことがあれば、メンバーの誰かに聞いてくれればいい」

「はい」

「よくここまで来たね」

「はい。ここに来て、私は、大きく変わりました」

「それは、よかったのかな?」
メガネをした理貴が、握手を求めてきた。


「もちろんです」
伊都もしっかり握り返した。


「本当によかったのかな」


「少なくとも、後悔はしてません」
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