ハイスクール・カンパニー
伊都は、まだ言い足りないことがあると思って、引き返した。

伊都は、自分を見つめていた理貴に話しかける。


「来栖さんから、2年でアメリカへ帰ると聞きました」

「来栖が?」

「会社も2年で解散になると…」

「会社がなくなる方が惜しいのか?伊都は…」

「はい。せっかく弟の学費の目処がたったのに」

理貴は、こっちへおいでと伊都に手招きした。

伊都は理貴の言うとおりに従った。

理貴は、伊都を抱きしめると、耳元で言った。

「会社が無くなって困るのは、ほんとにそれだけ?」

「理貴さん…ダメです」

「社員規則には、仕事中キスしちゃダメだとは書いてないよ」

「規則の問題ではなく、モラルの問題です」

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