ハイスクール・カンパニー
「わかった。じゃあ、他のメンバーが、誰もいないときならいいだろう?」
理貴はいたずらっぽく笑う。
「理貴さん!まさかそれで?」
「契約は成立したよ。だから取り消さない。それから君の、あの弟君、かなり優秀なんだって?」
「理貴さんにはかないませんけど」
「今度、 模擬試験を受けておいで。結果によっては編入試験がうけられるかも」
「編入って?」
「うちの。成績さえ優秀なら、大学を出るまで学費はいらない」
「そんなの聞いたことがありません」
「優秀な人材はどこでも欲しがるからね。早めに手を打つだけだよ。俺が、理事会にかければすぐに通るよ」
「そんな…」
「魅力的だろう」
「はい」
「じゃ、弟君を説得して。俺の助けは受けたくないって顔のしてたけど」
「何か、見返りがいるのではないですか?」
「君だといったら?」
「私なんかで足りるわけがありません。家の権利書とか…」
理貴は、また高い声で笑った。伊都といると、どうもこうなる。
「気にすることはない。必要なものはこれから、じっくり受け取るつもりだから。それと、彼とは別れたの?うまくいってないって聞いたけど…」
「透と、どうなっても理貴さんのせいではありません」
「でも、俺言っただろ?俺は君にとって、あまりいいやつじゃないよって」
「はい…」
「引き留めて悪かったね。料理は残ってるかな」