ハイスクール・カンパニー
伊都はケンサクを送るために駅までの道を歩いていた。
手に一杯持っていた荷物は、肩にかけた鞄1つだった。
手にいっぱい持っていた荷物は、陸にすべて取られてしまった。
この結果なら、理貴を満足させるのに十分だろう。
「いいの?結局、持ってきたもの全部もらってしまって」
伊都が心配して聞いている。
「いいよ。今回のことで、伊都にはどれだけ感謝しても足りないし」
伊都が、突然立ち止まった。
「それから、ねえ、ケンサクさん?陸は合格したの?」
「合格?」ケンサクは、とぼけていう。
「理貴さんに頼まれたんでしょ?」
なんだ、全部知ってたのか。
「伊都、知ってたの?」
「出す問題を変えるって知った時、そこまではいらないよって、小さな声で言ってたから」
「なんだ、ばれてたのか…」
「それで?理貴さんには何て言われてれの?」
「簡単に言うと、何でもいいから1つでも僕を越えることかな」
「ええ?」
「はっきりとは言われてないけど、周りの批判を受けなくてすむからね」
「そっか…」
「大丈夫だよ。出来栄えも問題なし。それに彼、僕の目的なんかすぐに見破って、自分で指導権握ったじゃないか……安心したら?」
「うん」