ハイスクール・カンパニー



事の起こりは、まず、出来上がった動画をフランスに送って反応を確かめた。
まあ、そこまではよかった。


送った動画の返事が来て、葵がその返事にぶちきれた。


「だって、聞いてよユウ、私のナレーションじゃなくて、伊都ちゃんの実際の声に、
字幕をつけたほうがいいって」
ユウは、顔を歪めた。

また、面倒な事を……

葵が面白くないというのも、ユウには理解出来た。伊都の言葉を翻訳し、フランス語で吹き替えたのは、葵だから。

当然、葵は、多くの時間と労力を使っている。


そして、遠くにいて葵の怒りと関係なく、離れた場所から、思ったことを言ってるアレンを恨めしく思う。

どうして自分の彼女に配慮しないで、ズケズケと思ったことが言えるんだろう。


「アレンがそういったのか?」

ケンサクが、ニヤニヤしながら言ったので、葵は余計に腹がたった。


「ほら、メールにそう書いてある」
彼女は、ユウにもメールのコピーを見せた。


「いや、だからフランス語は、俺わかんないって」
わかんなくてよかったよ。

ユウは心の中でつぶやく。ユウはすぐに近くにいた多樹に紙を渡した。

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