ハイスクール・カンパニー
「ごめんね、伊都ちゃん。ということだから、声の入ってないシーンのとこだけやり直すから」ユウが説明する。
「どうして私の声なんでしょうか?」
伊都が小さな声で聞いてくる。
こっちは、まるで逆だ。どうしてこう自信なさそうにしてるんだ?
「多分、君の存在も、声も本物みたいに感じたいんだと思うな。
そんなはずないのは、わかってるのに。
どこか遠い国ならありかもしれない。
だろ?
それに、美少女戦士がフランス語を話すのもおかしい」
「それと、ボタンを外すシーン、カットしろ」と後ろから理貴が言う。
変な方向に、興味が向けられるのを防ぐためで、ユウももちろんそのつもりだったけど、理貴には、違う理由があるとユウは思った。
「よく気がついたな」
ユウが噴出しそうになるのをこらえた。
「他にも、自前の制服だったり、名前を口にしてるところも」
「はいよ」