ハイスクール・カンパニー

理貴は、一人でミーティングルームに残ってモニタを見ていた。チェックすべき事は、すでに終わっている。モニタの電源を切って別の事をしようと思ったところだ。


ドアをノックする音がした。


「とうぞ」と答える。
誰も入ってくる気配がしない。
理貴は、返事をしたきり忘れてしまった。



伊都は、作業中の理貴のことを邪魔しちゃいけないと思い、理貴がパソコンのモニタを見ている後ろで、彼の様子をじっと見ていた。


何を見ていたのかは、伊都にもすぐにわかった。

さっき、ユウが撮り直した映像だ。


そんなに出来が悪かったのかなあ。理貴はさっきから、何度も同じ場面を見つめている。


伊都は、彼に声をかけるタイミングを失っていた。

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