ハイスクール・カンパニー
それから、理貴さんは何が好きかな。
朝食のメニューもついでに借りとくか。
無口な王子者様の食事
ノートにそうタイトルをつけて、書き出していく。
和食か洋食か何がいいのかな。
普段、朝は食べないみたいだし。
理貴さんは、作ったものを残したことはないけれど、きっと苦手なものとかあると思う。
あの性格だから、お皿に盛られたら絶対食べてくれるだろうけど。
どうせなら、気持ちよく食べてほしい。
本人は、話してくれないから、ユウさんにでも、聞いてみよう。
図書館で本を見ていたら、
「何みてるの?」と沙希が話しかけてきた。
「うん、ちょっと……」
「伊都?朝食って……家族の?」
「いいえ、仕事先の」
沙希がしばらく考えて、珍しく口を出してきた。
「ちょっと待って。朝食なんていつ作るのよ」
「いつって、朝、学校来る前に寄るだけだから、学校にはちゃんと来られるよ」
沙希がノートをのぞき込んだ。
「無口な王子様って?」
「仕事先の、雇い主」
「内藤理貴?」
伊都は驚いて、先の顔を見る。
「何で彼を知ってるの?」
「知ってるわよ。有名だもの」
「それより、透は知ってるの?朝、一緒に登校出来ないでしょ?」
「あっ……やばいなそれ、どうしよう。すっかり忘れてた」
伊都は頭を抱えた。
「断れないの?それ」
「うーん。自分から言っちゃったし」
「休み終わるまでに、何か考えておかないと」
「どうしよう、沙希。何かいいアイディアある?」
「知らない。そんなの…」
「ごめん…」
沙希が、聞いてもいいかなと前置きしてから言った。
「それからさ、会社にバイトで新しく入ったのって伊都だけ?」
「うん、そうだよ」
「そう、由奈ダメだたんだ」
「ん?」
「何でもない」