ハイスクール・カンパニー
「伊都?お前、今日も学校に行くのか?」

家を出るときに父に呼び止められた。


「うん。朝、掃除の仕事も、もらったんだ」
父も深夜勤務を多くしてがんばっている。
自分ももう少し頑張って家にお金を入れたい。


「休みのうちの間だけなのか?」


「ううん。その後も、ずっとやるつもり」


「透くんは知ってるの?」


「まだ話してない」
伊都の顔がちょっと顔がくもる。


「大丈夫か?」
父がそんなことまで心配してくれるのを伊都はおかしく思う。


「何とかするよ」


伊都は、父にバイト代が結構な金額になるからと
伝えたときのほっとした表情を忘れていない


「すまんな。でも……二人ともお姉ちゃんの代わりだといって、一生懸命に家事やってるぞ。後でほめてやれ」


「うん。行ってきます」

すれ違いざまに、父に腕をつかまれた。
「おい、仕事に行くんだろう?ちょっとその格好で行くのか。俺は、服のことわからんからなあ。友達に相談して何か買ったら?」

Tシャツによれよれのズボン。

「着てくものなんて、何でもいいって。掃除するだけだから。大丈夫」

ほんとうに掃除するだけだ。
理貴に会うからといって、おしゃれしていくのは、仕事をする人間としてどうかと伊都は思った。


会社に行って、一通り掃除をして理貴の食事の世話をする。そして夕方透が来るのを待つ

「昼過ぎに一度帰ってこようかな。お昼はその時でも……」

「そのくらい、男三人で何とかするよ。心配しないで行ってこい」

「ん、ありがとう」


父は、あんまり無理するなという口癖を娘にかけると、息子達を起こすために、階段を上がっていった。



伊都は、昨日父に打ち明けた。

この分だと、陸の大学までの学費は何とかなるかも知れない。

成績のいい弟に、専門教育を受けさせたい。

だから、陸には学力の許す限りいい学校を受けて欲しい。

伊都は大学に行けなくてもいいからと、父に告げた。

父も分かっていた。二人を大学にのは無理だということは
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