ハイスクール・カンパニー
待ち合わせの駅まで、理貴が送ってくれた。伊都は、着飾って街を歩くなんて初めてで、理貴を相手に少し興奮ぎみにはしゃいでいた。
すれ違う人にも、ちゃんとカップルに見えるように理貴もエスコートしたので、理貴も楽しんでいるみたいに見えた。
「本当に魔法をかけられたみたい」伊都が言う。
「君は、簡単に魔法にかかってしまうんだね」理貴は、笑った。
「洋服代 後でちゃんと払いますね」
「いいんだ。お金のことは。たいした金額ではないから」
「でも…」
「伊都ちゃんには、これ以上の物を返してもらってるからね」
「理貴さん、いい人なんですね」
「伊都ちゃん、俺はいい人何かじゃないよ」
じゃあ、俺は戻るからと言って、彼は人ごみの中に消えていった。
理貴といると、ジェットコースターに乗ってるみたいだ。
振り回されるんじゃないかと思えば、こんなふうに優しく扱ってくれたりする。