あの空の君へ
♠違う温度~過去~
結衣side

私はお兄さんに押し倒されたことが怖くて、怖くて…。
お兄さんの温度は新の温度より少しだけ低くて、
確かに兄弟だから少しは似ていたけど、
声の低さも、
最初にキスをする場所も、
その仕方も、
全然違った。
「…結衣?…お前、泣いてんのか?何があったんだよ。おい!」
私は再び涙を流した。
「だい…じょ…ぶ…。」
「そんなわけないだろ、何があったんだよ。」
「新…。…いて。」
「なに?ごめん。聞こえない。」
「だ…いて。」
「え?」
「抱いて…。」
「ゆ、結衣?」
私の突然の言葉に新は動揺を隠しきれないようだった。
「まじで、どうしたんだよ…。」
「いいから…。」
「わかった。」
私はお兄さんじゃなくて、新の肌を確認したかった。

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