あの空の君へ
♠葛藤
琉side

「もしもし」
「…琉さんですか?」
「うん。結衣ちゃん?」
「…あのお話があるんですけど。」
「ん?」
結衣ちゃんは話してくれた。今まであったこと、香と別れたこと、律のこと、会社のこと、全部。
「そういうことね。ちなみに結衣ちゃんこれから行くところは?」
「一応少しの間はホテルに泊まって、アパート探します。」
「じゃあ、うちの会社に来なよ。部屋ならいっぱい空いてるし。」
うちは自宅と仕事場が一緒になってるから結構広い。
「それは出来ません。迷惑…かけられませんから。」
「でも、弟の好きな人から内緒で連絡あって、そうですかってほっといたら俺が香から大目玉くらうんだけど。」
「でも…。そういうつもりで琉さんに連絡したわけじゃないので…。」
「俺を助けると思ってさ、ね?」
「…ありがとうございます。」
「よし、決まり。住所はメールで送っとくから。早くおいでね。」
「本当にありがとうございます。分かりました。」
「じゃあ、またあとで。」
「はい。」
俺は電話を切ってメールを送り、部屋にあるソファに寝転がった。
「珍しい人から電話がかかってきたと思いきや、大変なことになってるなー。」
俺はため息交じりにつぶやいた。
「しかも香には内緒、ねぇ。」
今の状態で結衣ちゃんの居場所を知ってるのは俺だけで…でも、香に言わなかったらどんなことになるか…。
「俺も、爆弾抱えたなー。」
心の底で何かが起きる気がした。モヤモヤ。
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