あの空の君へ
第二章
♠新しい命

高校を卒業したあとみんなバラバラになってしまった。
新は行きたかった大学生に合格して、
今はその大学に通っている。
だから、なかなか会えない。
でも、そんなこと新には絶対言わない。
余計な心配かけたくないから。

何年かたち新が大学を卒業したあと新と結婚した。
プロポーズの時、新がぎこちなくて返事する前に笑っちゃったんだよね。
そして、一緒に住むことにした。
そんな中で私達はとても幸せな日々を送っていた。

ある日、何気なく家事をしていると突然吐き気に襲われた。
もしかしてと思い調べてみるとやっぱり妊娠だった。
私は嬉しくてその場で泣き出してしまった。
すぐに新に伝えると、新もすごく喜んでくれた。
子供の名前も決めた。
女の子だったら、美羽。
美しく未来へ羽ばたいて欲しいという願いを込めて。
男の子だったら空。
大きな空のように広い心をもって欲しいという願いを込めて。

少したった頃私は入院することになった。
初めての妊娠で不安も一杯あったけどそれより、期待の方が大きかった。

数週間後、もうすぐで産まれるからと分娩室に運ばれた。
そして、赤ちゃんは無事に生まれた。
分娩室を出たら新と凛と颯太と両親が待っていた。
これは、凛から聞いた話だけど
私が分娩室にいるとき新は落ち着かなくて立ったり座ったり
何度も時計見てたりしたんだって。
それから凛や颯太に、「ちょっと遅くないか?」とか「大丈夫か?」って何度も聞いてたんだって。
それを見た私の両親は微笑んでたって。
私はそれを聞いて嬉しくなっちゃった。
だって、新のそんな余裕ないところなんて見たこともなかったんだから。

しばらくして、私は退院した。
その後、家族水入らずの楽しい生活を送っていた。
子供が立っただけで2人で大騒ぎして。
パパとかママって呼んだときには泣いて喜んだ。
それから、2人目の子が出来たときには抱き締めてくれた。
「ありがとう。がんばれ。」って。
そして、明後日私達は動物園に行く約束をした。
あんなことが起こるとも知らずに。

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