ともだち、こいびと、たいせつなひと
一瞬にして血の気が引いた。
確かに姫菜は男の目を引く要素をたくさん持ってる。
だけど、俺がいる以上、姫菜がそんな男の気まで引くとは思ってなかった。
完全に俺のミスだ。
「ごめん、ちょっとまたかけるわ!」
サチがそれ以上何か言う前に電話を切り、俺はバタバタと階段を駆け下り家の外に出た。
家に行くのは逆効果だ。
姫菜に怖い思いはさせたくない。
仕方ないので、姫菜んちを見渡せる家から少し離れた路地で、佐々岡が出てくるのを待った。