ともだち、こいびと、たいせつなひと
少し歩くと佐々岡がおもむろにスマホを取り出し、誰かに電話をし始めた。
ここからじゃ会話がちゃんと聞こえない。
気づかれないように佐々岡の近くに寄り、チラチラと聞こえる会話に耳を傾けた。
『そーそー、まじで可愛いーの、姫菜ちゃん!俺、ほんとにハマっちゃうかもー』
『分かってるよー、うん、うん、分かってるって!』
『俺が仲取り持てるまで姫菜ちゃんとの関係深めればいんだろ?でも、そーなるまでに俺がどー動こうが俺の勝手だよな?』
『はいはい、分かったって!うん、はいよ、はーい』
俺が近寄った時に聞こえたこの会話。
間違いなく姫菜にも俺にも良い方向ではないと分かった。
佐々岡が電話を切るタイミングで俺は動いた。