ともだち、こいびと、たいせつなひと
「・・・っ」
半開きのるーくんの唇が
あたしの唇を押さえた。
まるで食べちゃうように。
そして、確かめるように舌で唇をなぞり、
その舌があたしの口内を漁る。
「…っ!……ッはぁ…っ」
「るーっ…」
どんな抵抗を見せても、
るーくんの手が後頭部から離れる事はなく
それでも、
そんなるーくんを嫌だとか怖いとか
全然思わなくて。
今まで見たことないるーくんに
すごくドキドキして。
力強い腕も、熱い息使いも、
大きな手も、
全部るーくんなのに、
そんなるーくんを今まで知らなかった。
それと同時に、
そんなるーくんを知ってる人が今までにいたんだと瞬間的に考えてしまったら、すごく切なくて、泣きたくて、どおしようもなくて。
あたしにはるーくんしかいないのに、
るーくんにはあたしだけじゃない。
この現実がたまらなく嫌だった。