ドSな王様ひろいました⁈
瀬名の指摘に、思わず口に手を当てた。年期の入った古いアパートだ。壁は薄い。隣近所に丸聞こえだろう。

だけど、叫ばずにはいられなかった。瀬名の言葉に、一々腹がたつんだもん‼︎

「…おい、出かけるぞ」
「…へ?…まだ、パジャマなんですけど」

「トロイ奴だな、さっさと準備しろ」
「〜〜〜〜〜⁈」

家に居ても、外に出ても、こいつが付いてくるのか。はぁと、溜息をつくと、仕方なく準備を始めた。

「…他に服はないのか?」
「…これで十分よ」

…ふん!別にデートする訳じゃないんだから、パンツスタイルで十分だ。

「…まぁ、いいか。春香は足が細くて長いから似合ってるし」
「///⁉︎」

思いがけないお褒めの言葉に、顔がボッと赤くなった。

「…行くぞ」
「…え、あ、ちょっと!」

そんな私の態度なんて気にも止めず、私の手を引くと、部屋を出た。

…この手、いつ離すんだろうか?

人の目も気にせず、手を繋いだまま、瀬名は街中を歩く。そんな中。

『きゃ、イケメン』
『背が高いイケメン』
『マジヤバい!あの人芸能人⁉︎』

etc…

街中を歩く瀬名は、沢山の女の子の注目の的だ。…その横を歩く私って、全く釣り合ってないよね。と、自己嫌悪に陥る。

「…手、離して。瀬名と私じゃ釣り合わないから、あんたに迷惑かける…イッ!なんで急に止まるのよ?」

突然止まった瀬名はクルッと私の方に体を向けて、見下ろした。…イケメンに見つめられると、目のやり場に困る。

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