ドSな王様ひろいました⁈
「…江藤さん、そちらは?」
「え⁈…この人は…」

瀬名の事を言ってるんだろうけど、なんて答えればいいのかわからない。

家の前で拾った。なんて言えないし、親戚なんて嘘はバレそうだし。

変な事言うと勘違いされそう…それは嫌!それだけは絶対にイヤ!

「仲良さそうだね。…彼氏?」
「か⁈か、か、か」

テンパる私。それを見ていた瀬名が一言。

「そうだよ、あんたは?」
「〜〜〜〜〜ッ⁈」

彼氏じゃないだろーーーがーーー‼︎

テンパり過ぎて、声が出ず、慌てふためく。それなのに、瀬名はいけしゃあしゃあと、言ってのける。

「あ、すみません。俺、江藤さんの同期です。…なんだか、お邪魔みたいなので失礼します。また会社でな、江藤さん」

なんとか二度頷いて見せると、清春は苦笑しながら、その場を去ってしまった。

色々怒りが頭に達して、瀬名を睨むと…何故か、瀬名も、清春を睨んでいた。

「瀬名!あんたいつ、私の彼氏になったのよ⁈」

清春に向けられていた怖い顔が私に向けられた。そのせいで、一瞬怯んでしまう私。

「奴の事が好きなのか?」
「なっ⁈」

「…図星か」
「もぅ!いい加減にして!あんたどれだけ王様なのよ!!!」

「…プ…王様?…俺が?」
「…」

つい、思った事が、口に出てしまった。

「俺が王様なら、お前は召使か。それも悪くない」

もぅ!何でこうなるのよ!キーッと叫びそうになる私を、クククッとわらいながら、瀬名は私の手を取り歩き出した。

…私の片思いも完璧終わった。

泣きたいのに、泣けないのは、歳のせいだろうか?
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