ドSな王様ひろいました⁈
私の言葉に、眉をひそめた瀬名。

「な、なんか言いなさいよ」

何も言わないので、もう一度そう言ってみると。

「…あんた、誰?」
「…は?」

何寝ぼけた事言ってんの、瀬名は?わざとかと思った私は、また一言言った。

「人をからかうのもいい加減にしなさいよ」

「…お前みたいな女知らねぇって言ってんだろ!とっととうせろ!このブス女」

「こんの!」

「…一条社長、お車の用意が出来ました」
「あぁ、行く」

そう言うと、瀬名は、私を目一杯睨むと、黒塗りの高級車に乗り、行ってしまった。

「…一条社長って?…今のって、絶対瀬名だよね?…私の事知らないだって?あれだけ一緒に居たのに…ふざけんな、バカ!」

…凄く自分が惨めになった。…瀬名が同じベッドの中に居なくて、大丈夫だって思っても、無意識に、ペンギンのぬいぐるみを抱き締めて眠っていた。

「…瀬名の、バカ」

…まただ。

…泣きたいのに…涙も出ない。

…私の涙、枯れちゃったのかな。

…私は俯いたまま、駅に向かって歩き出した。
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