ドSな王様ひろいました⁈
「…私は、専務の顔を見たことも、会った事もありません。何故家に帰らないのか知りませんが、もういい大人なんですし、放って置かれてはいかがでしょう」

「…最もだ。俺だって、放っておきたいが、やたらと心配する両親でね」

「…」

「…最後のもう一つだけ聞かせてもらいたいんだが、友人の名は?」

「…市原瀬名です」

「…苗字が違うな。呼び止めて悪かったな」

「…いえ、それでは、失礼します」

一礼すると、私はやっと、一条社長から、解放された。

溜息をつき、駅に向かって歩き出した。

「江藤春香」
「…⁈」

フルネームで名前を呼ばれ、驚いた私は、パッと振り返る。

「今度、一緒に、食事に行こう」
「ご遠慮します」

一条社長の提案に、即座に拒否して、私はその場を去った。

「…本当に、変わった女だな」

そんな私の後ろ姿を見ながら、そう言った一条社長は、クスクスと笑っていた。

***********


やっとアパートに着いた私は、ドアを開けて、目を見開く。

「…今帰りか」

一条社長…ではなく、瀬名が普段着で立っていた。本当に、そっくりで、頭が混乱しそうになる。

「…瀬名も今帰り?」
「…あぁ」

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