ドSな王様ひろいました⁈
「…俺は、とある会社で、重役してる。あまり、表に顔を出さないようにしてるから、社名は言えない。…親子経営の会社なんて、ざらにあるだろ？親父はもう会長してて、俺の弟が社長してる」

「…普通は、兄の瀬名が社長するんじゃないの？」

私の疑問に、瀬名が苦笑いを浮かべる。

「未だに、会長は俺が社長になる事を熱望してる。…俺としては、今の役も蹴りたいんだ」

「…なんで？」

「…自分の会社を立ち上げたいから」

真剣な表情で、そう言った瀬名。

社名が分からないから、規模は不明だけど、この歳で重役が出来るんだから、仕事も出来るんだろう。

「…瀬名も色々大変なんだね…うん、分かった。好きなだけ、ここに居ていいよ。あ、でも、出て行きたくなったら、いつでも出て行っていいんだからね」

そう言って微笑めば、瀬名に睨まれ困惑する。

「…言っておくが、気まぐれでここに居るんじゃないからな」

「…え？」

「…確かに俺を拾ったのは偶然だが、むしろ、この偶然は、俺にとっては、必然だった」

瀬名の言葉に、キョトンとする。

「春香は、俺にとって、なくてはならない存在だ」

「…女に、そんな重い言葉を軽々しく口にしないでよ」

そう言って困ったような笑みを浮かべれば、瀬名は、私を引き寄せた。

「…俺は嘘だけは言わない。軽々しく口にしたつもりはない。そのまま、言葉通り受け取ってくれればいい」

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