ドSな王様ひろいました⁈
真顔で言われたので、顔が一気に火照ってしまった。

共に乗り込んだエレベーターの中、2人は無言になってしまった。

エレベーターが一階に着くと、清春が先に、私に降りるよう促したので、先に降りた。

「なぁ江藤さん」
「…なんですか?」

清春の言葉に、返事をして、清春の顔を見ると、私ではなく、私の後ろの方を睨んでいて、その視線を辿るように私もそちらを見た。

…あれは。

一条社長が、誰かと話をしている。…何やら、言い合いのようにも見えるが、声までは聞こえてこない。

「…待て、瀬名!」

一条社長が相手の名前を呼んだ。一条社長が相手の肩を掴むと振り返させると、…一条社長と瓜二つの顔がある。

「…瀬名…あれって、市原瀬名だよね」

驚きつつ、そんな言葉を呟く。

「…市原?…違う。あれは、一条瀬名。社長の双子の兄貴、この会社の専務だよ」

清春の言葉に、目を見開く。…噛み合わなかったものが、全て一気に繋がった。

私は思わず、口に手を当てた。

「おいで、江藤さん」
「…ちょ、主任」

宙に浮いた片方の手を握ると、清春は私を外に連れ出した。

途中、彼らに見られた気がしたが、足早だった為、確認は出来なかった。
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