ドSな王様ひろいました⁈
…連れてこられたのは、夜の公園。こんな時間に人はほとんどいない。

「主任、どうしたんですか急に?」

早足でここまで来たので息が上がったまま、清春に問いかける。

振り返った清春は、真剣な眼差しで私を見つめた。

「…江藤さんは、本当に一条専務の事を知らなかった?顔も見た事なかったの?」

「…はい。元々、専務はあまり表に顔を出す人じゃなかったし、たまに顔を出しても、遠目にしか見た事なくて、どんな顔なのかも知りませんでした」

「…本当なんだね?」
「はい、本当です」

私が嘘をついてない事が分かったのか、清春は溜息をついた。

「一条瀬名と、江藤さんの関係がどんなものなのか、俺にはわからない。でも、自分の身分を隠して、江藤さんの傍にいる事は許せない」

「…主任?」

「…一条瀬名は、江藤さんには釣り合わない。あんな男の傍に、君を置いておくなんて嫌だ…あんな男の事なんて忘れろ」

「…私は」

「…一条瀬名を好きになる事だけは止めろ。江藤さんが、苦しむだけだよ。そんな姿見てられない。こんなに江藤さんの事が好きなのに」

…嘘でしょ?…清春が、私の事を好き?そんな事ある訳…

いろんな事がいっぺんに起こりすぎて、頭が混乱する。

「…主任、ごめんなさい。私、頭が混乱して、今は何も考えられません」

そう言い捨てると、その場を後にした。
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