ドSな王様ひろいました⁈

⚫︎王様を愛してしまったが、故の苦悩

…その後、瀬名と私は、昼間からお鍋の具材や、お酒を買い、家に帰ると、二人で、あぁだこうだと言い合いながら、お鍋を作り、それを囲んで、お酒を飲みながら、また、どうでもいいような事を話し笑い合った。

こんな瀬名を見ていると、本当に、専務なんて地位の人間なのかと疑いたくなる。

王様気質は無くならないが、その顔はどこか穏やかで、笑顔も多い。私の悪態に笑ったり怒ったり、表情をコロコロ変える。

私自身、自分の勤める会社の重役だとわかった今も、変に気を使わず、今迄通り好き勝手言っている。

…このままずっと、こんな穏やかな日常を送る事が出来るのだろうか?

…次の日の朝、私の隣で寝ていたはずの瀬名の姿がそこにはなかった。

急ぎの仕事だったのか。

特に気にする事もなく、身支度を整えた私は、出勤した。

「…おはよう、江藤さん」
「ぁ…おはようございます、主任」

清春に挨拶を交わした直後、横を誰かが通り過ぎていく。

「おはようございます、一条専務」
「…」

それに気づいた清春が、その人に向かって挨拶をする。…瀬名だった。

瀬名はビシッと髪型を整え、スーツもきまっている。…うちにいる時とは、180度違う。

挨拶をした清春にチラッと視線を移した瀬名は、私が隣に居るのが気に入らないように、清春を睨んだ。
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