ドSな王様ひろいました⁈
「…本当に、江藤さんは、バカ正直だな」
「…すみません」

「…江藤さんが、幸せになるなら、俺は何も言わないよ。…でも、何かあったらいつでも頼って。何があっても、必ず助けるから」

そう言って優しく微笑む清春に胸がキュンとした。

「…ありがとうございます、主任」

「…さ、仕事始めよう」
「はい」

…それから、約1カ月間、私は営業部の事務をこなしながら、午後からは、専務室に行って、仕事を覚えて行った。

目の回るような毎日に、私は必死で過ごしていた。

「…春香」
「…ん…」

「…こんなところで寝たら風邪ひくぞ」
「…大丈夫…だい、じょう、ぶ」

先に仕事を終え、家に帰った私は、疲れきった体を少しだけ休めようと、ソファーに、横になったら、そのまま寝てしまった。

後から帰ってきた瀬名が、私に声をかけたが、私は気持ち良くスヤスヤ。

溜息をついた瀬名は、私のスーツを脱がせると、抱き上げて、ベッドに私を置き、布団をかけた。

温かな温もりに、自然と頬が緩む。それを見た瀬名は優しい笑みを浮かべ、私のおでこに口付けた。

「…無理をさせてすまない」

その謝罪の声は、眠る私の耳に届くことは無かった。
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