ドSな王様ひろいました⁈
朝食を済ませると、片付けをして、ふと振り返ると…こいつはどこの王様だ?

瀬名はソファーに座って、のんびり新聞を読んでるではないか。

…せっかくの休みだと言うのに、この口の悪い王様と過ごすなんてまっぴら御免だ。

…かと言って、瀬名を一人、この家に置いて、家を出るなんて出来そうにない。何か盗まれたら困る。

「…そんなに疑いの目で見なくても、何も盗んだりしないから、好きなところに出かけていいぞ」

「…」

新聞を読んでたはずなのに、そんな事が分かってしまうとはこいつって一体…

「全く金には困ってない。ほら、証拠」
「ワッ!ちょっと!急に投げないで…⁉︎こ、これ、ブラックカード⁈」

突然投げられたカードに目をやると、人生で初めてお目にかかるシロモノ、『ブラックカード』。凄い金持ちしか手に出来ないそれを持ってる瀬名って、本当に何者なの⁈

「だから、気にせず出かけろ」
「ち、ちょっと!こんな物持ってるんだったら、ホテルでもどこでも泊まれるでしょ⁈早く支度して!私と一緒に、家出るわよ!」

こいつが何者かなんて、今更どうでもいい。とにかくここから追い出したい。そして、一刻も早く、静かな生活を取り戻したい。

「…そうか、一緒に出かけるか、それもいいな」
「はぁ⁈あんたの思考回路ってどうなってんのよ‼︎」

思わずそう叫んでしまった。

「…近所迷惑」
「…ぁ」
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