たった一度きりの青春は盛りだくさん
達川くんの言葉に私は心から納得した。
それにしても、達川くんってこんなにも喋る人だったんだ。
今まで、和希の友達として遠くから見るだけで話したことはなかったから。
「あ、それ・・・」
達川くんは私の鞄を指さして呟いた。
指の先を辿ると、桜の形をしたストラップ。
鞄のポケットに入れてあるケータイに付けてて、琴音が修学旅行のお土産で買ってきてくれたんだ。
「あ、これ?妹がくれたんやけど・・・」
説明しながら達川くんの顔を見て、言葉が出なくなった。
すごく悲しそうな顔をしてるから。
達川くんのことをそんなに知ってる訳じゃないけど、こんな顔は見たことない。
「達川?」
黙った私を不思議に思ったらしい和希は一瞬私を見て、達川くんの異変に気がついたみたい。
「あー・・・ごめん。何でもない。
そっか、佐藤さんって妹おったんや」
どう考えてもから元気。
でも、深くは聞かないほうが良いんだよね。
私にだって言いたくないことはあるし。
「うん、私、3人きょうだいの真ん中なんよ」
人は見た目では分からない。
達川くんは、ただ元気なだけじゃないってことが分かった。