たった一度きりの青春は盛りだくさん
さくら飴
―――キーンコーンカーンコーン・・・
4限目終わりの合図が鳴って挨拶をすると、途端に教室が騒がしくなる。
さっきの時間、お腹が何回も鳴って恥ずかしかった。
「奈々ちゃーん」
廊下から私を呼ぶのは、同じ部活で友達になった2組の笑子ちゃん。
名前のとおりいつも笑顔で元気で活発な子。
私とちょっと性格が似てるのかな。
「はーい」
返事をしてからお弁当箱と水筒を持って、廊下に出る。
吹部の同級生は10人。
でも、同じクラスの子はいなくて、あとは2~6組。
中には男の子が3人もいて、最初はびっくりしたっけ。
「お待たせー」
笑子ちゃんと一緒にいた2組の吹部メンバーと一緒に向かうのは、音楽室。
先輩方がいたら食べにくいんだけど、昼休みは誰もいないし、食べた後は練習できるし最高の空間なんだよね。
「奈々ちゃん、今日元気ないね」
後ろから着いていってると笑子ちゃんが振り返ってきた。
「あー、雨やけんかも。
体育は中やったし、髪の毛ぼわってなるし」
私が答えると笑子ちゃんは笑った。
笑うと八重歯が見えて可愛いんだよね。