たった一度きりの青春は盛りだくさん



しょうがない、先に渡しに行くか。


後にしたら達川くん4組に行っちゃいそうだし。


私はまた教室までの廊下をトボトボと歩く。


色々と行動がのろいって言われる私だけど、ご飯だけは人並みの速さで食べられる。


だから、みんなより少しくらい遅く行っても食べる時間は十分ある。


1組にはサッカー部が5人もいる。


その5人は何かしらつるんでて、休み時間はもちろん昼休みは集まってる。


このグループに声かけるの、勇気要るんだけどな・・・。


「あのー、達川くん、これ和希から」


心臓をドキドキさせながら声を絞り出した。


人見知りはする方じゃないからその辺は大丈夫なんだけど、やっぱり男子ばかりってのは駄目だよね。


「え、わざわざ持ってきてくれたん?

ありがと、佐藤さん」


頼まれて持ってきただけなのに、大げさに喜ぶ達川くん。


朝のあの表情が嘘みたい。


「ううん、廊下でたまたま和希に会って」


「へぇー、白石と佐藤さんって本当に幼なじみやったんや」


達川くんに説明してる途中なのに、他の人に割り込まれた。


ってかその言葉、今朝達川くんにも言われた。


「あ、やっぱそれ思うよね?俺も思ったー」


あーあ、みんなで盛り上がり出しちゃった。



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