たった一度きりの青春は盛りだくさん
今度は笑子ちゃんが言った。
へぇー、桜の形をした飴か。
今朝も桜の形のストラップに反応してたし、達川くんって桜が好きなのかな。
「そういえばさ、さっきの人、誰なん?
同じ中学やった人とか?」
笑子ちゃんが食後のデザートにゼリーを食べながら言う。
私もお弁当箱を開けて食べ始める。
自分で作ったものだから楽しみもなにもないけどね。
「あー、和希のこと?幼なじみなんよ。
他に同じ学校から来た人はおらんかったはず」
ほとんどの同級生が自転車で行ける範囲の高校に進学したからね。
私の場合は制服と、和希が受けるって理由でここを選んだ。
和希がどうしてここを選んだのかは分からないけど。
「へぇー、幼なじみかぁ」
何故か笑子ちゃんはうっとりとした表情をしている。
幼なじみの恋愛、なんてことをイメージしてるのかもしれないけど、私と和希はそんなこと全くなし。
男女の友情が成立しちゃってるもん。
「和希って、もしかして白石のこと?」
森くんはお弁当箱を片付けながら言った。
私のお弁当箱の倍の大きさはありそうなのに、さすが男の子。
「うん。あ、そっか、森くんは4組やったね」
和希と同じクラスだから次の時間体育なんだ。