たった一度きりの青春は盛りだくさん
「森くん!」
少しだけ勢いをつけて森くんの横に並んだ。
だけど、森くんは私の行動を予想してたのか、あまりびっくりしてない。
「今日も中野遅かったんや」
びっくりするどころか、私が1人でいることを笑ってる。
あ、因みに中野は笑子ちゃんのことね。
「まぁね。管楽器はわいわい片付けるけん」
私はパーカッション、森くんはコントラバス。
どちらもつば抜きとかはなくてわりと片付けは早く終わる方。
基本的に待たされ役なんだよね。
「そういえばさ、佐藤と白石って仲良いん?」
最近、駅まで森くんと一緒なのが当たり前になってきたなぁ。
4月とか5月とかは、和希よりも背が高い森くんに恐怖さえ覚えてたのに。
「うん、良いと思うけど、何で?」
喧嘩をすることはあるけど、いつも自然に仲直りしてるし、今も変わらず一緒に登校してるってことは仲良しってことだよね。
「いや、2人が一緒におるのってイメージできんくて」
うーん、やっぱり私たちって意外な組み合わせなのかな。
私にとっては赤ちゃんの頃から一緒にいる存在だから全く不思議じゃないんだけど。
「そうかな?」
「うん、そう」
森くんに眉間に皺を寄せられて言われると、そうなんだと思ってしまう。