たった一度きりの青春は盛りだくさん
ブック型のケースにしてて良かった、なんとか大丈夫みたい。
「手に持つか蓋できるとこに入れろっていつも言いよるやろ」
文句を言いながら歩き出した和希。
あ、でも今のは文句じゃなくて、忠告とお説教だ。
私も慌ててついて行きながら反省する。
「うん・・・」
「森、部活奈々と一緒やったっけ」
あ、和希ちゃんと森くんのこと知ってたんだ。
「うん」
「迷惑かけてごめんな」
え、ちょっと待って。
今のところ、部活で迷惑はかけてないんですけど。
「ちょっと和希!部活での私知らんやろ?」
「知らんけど分かる」
んー・・・和希が言うと何故か説得力があるからなぁ。
「ね、森くん。
私、部活で迷惑かけてないよね?」
ここにはちゃんと証人がいるんだから。
「うん、かけてないよ?」
戸惑いながらも本当のことを言ってくれた。
ほら、和希きいたか!
「森は、奈々に気遣ってそう言いよるだけやって」