たった一度きりの青春は盛りだくさん
そんなこと・・・。
私、本当に迷惑かけてないもん!
「もぉー・・・」
「あー、はいはい、もう大丈夫」
え?
森くんの発言に、私と和希は同時に振り返った。
高いところにある森くんの顔を見ると、すっごいシワシワになってる。
なんていうか、顔全体を使って笑ってる。
「仲良いってことがよく分かったよ」
森くんがそう言った時にはもう駅に着いてて、森くんは『じゃ、また明日』と反対側のホームに行く階段を上がって行った。
「森ってあんな笑う奴やったんや」
和希は電車を待っている列の後ろに並んで言った。
登校時は始発だから人が少ないけど、下校時は帰宅ラッシュだから人が多い。
だから、余計に1人じゃなくて嬉しいんだよね。
「うん、森くんってわりと笑うよ」
同じ部活だと、放課後と土日はほぼ一緒にいるようなものだから、周りが知らないことも結構知ってる。
和希も、同じクラスなのに森くんのことあまり知らなかったみたいだし。
それは多分、私が達川くんのことをあまり知らないのと同じこと。
あ、そうだ、達川くん。
「そういえば、達川くんって妹とかお姉さんとかおるんかな?」
ちょうど電車がきたから一緒に乗り込みながら言った。