たった一度きりの青春は盛りだくさん
でも、あまり効果的ではなかったみたい。
琴音は思いっきりお兄ちゃんを睨んでるから。
「お兄ちゃんには関係ないやん。
琴音のこと何も分かってないくせに」
あ、やっぱりちょっとは効果あったのかも。
さっきまでは叫ぶ感じだったのが、今は泣いてはいるけど喋る感じになってるから。
「お父さんやって・・・琴音が何で学校行きたくないんか知らんやろ?」
あ、やっぱり、そうだったんだ。
何でこんなこと当たっちゃうんだろう。
「琴音は・・・琴音は可哀想なんかじゃないのに」
あ、そっか・・・うん。
琴音の気持ち、少しは分かるよ。
私が高校の友達に、お母さんのことを話せてないのは、可哀想だと思われたくないから。
自分で自分のことを可哀想だって思っている訳じゃないけど、世間一般でいうとそうなんだろうなって分かるから。
特に、琴音が通う中学は、この4月から隣の中学と統合されて、私が通ってた頃とは環境が違う。
小学校から一緒の子たちだけじゃなくなっちゃったんだもんね。
「・・・行かんで良いと思う」
「え?」
私の呟きに、お父さんとお兄ちゃん、琴音も反応した。
多分、何言ってるんだこいつって感じなんだと思う。