たった一度きりの青春は盛りだくさん
1限目から
学校に着いたのは、ちょうど0限目が終わる頃。
いつもなら0限目を受けて教室で読書をしてる時間。
だから、こんな時間に教室に向かうのは変な感じがする。
「奈々」
靴を履き替えていると名前を呼ばれて、すぐ近くの壁に和希が寄りかかっているのに気がついた。
もしかして、待っててくれたのかな。
「あ、和希。おはよう」
っていうか、琴音の声わりと大きかったし、和希の家にも聞こえた可能性あるよね。
「おはよう。
あのさ・・・琴音なんかあった?」
視線を逸らしながら言う和希を見て、やっぱり聞こえてたんだと思った。
琴音が遥ちゃんにどこまで話してるのか分からないし、私だってそこまで詳しく知ってる訳じゃない。
「うん、そうみたい。
ちょっと琴音の中で限界やったみたいで、爆発しちゃった、みたいな?
でも、思いっきり叫んで泣いたし、少しは落ち着くと思うよ」
ご近所さんには申し訳ないけど、まだ幼い琴音のために許してあげて欲しい。
時間帯は完全に問題だったとは思うけどね。
「・・・そっか、なら良かった。
遥がさ、琴音の声で目覚めたって泣きそうやったけん」
あー、やっぱりそうだよね。
遥ちゃんの部屋は特にうち側だし。
遥ちゃん、ごめんね。