たった一度きりの青春は盛りだくさん



教室に向かいながら和希と話してると、なんだか小中学生の頃に戻ったみたい。


あの頃は家から教室まで一緒だったから。


「あ、0限目のことは達川に伝えといたけん」


あ、そっか、伝言頼んだんだった。


「うん、ありがとう」


ちょうど別れ道となる階段を上りきって、和希と別れた。


私は右に、和希は左に。


この感じにもすっかり慣れちゃったな。


「あ、奈々ちゃん遅刻?珍しい」


2組の前の廊下で、2組の吹部組が集まって話してた。


もちろん笑子ちゃんもいて、私に気づいて話しかけてきた。


「うん、ちょっとね」


「あ、さっき先輩が来て奈々ちゃんにも伝えといてって言われたんやけど、今日の部活休みになったって。

先生夕方から出張で、代わりに鍵閉めてくれる先生もおらんけんって。

あ、でも昼休みはいつも通り使えるけん大丈夫って言いよったよ」


私たちと同様に先輩方にも0限目がある。


いつもなら何かを伝えに来ても私は必ずいるから不思議に思われたかもしれない。


「うん、ありがとう。了解です。

あ、お昼は先に音楽室行ってもらってかまんよ。

私パン買ってから行くけん」


これまた、私の口から初めて出る言葉。


笑子ちゃんも、一緒にいる吹部の子たちも目を丸くした。



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