たった一度きりの青春は盛りだくさん
やきもち疑惑
―――キーンコーンカーンコーン・・・
チャイムが鳴って4限目の終わりを告げた。
私は机の上の物を中にしまって、ロッカーにある鞄からお財布と水筒を出して廊下に出る。
今日は笑子ちゃんの『奈々ちゃーん』って声はきいてない。
みんな、先に音楽室に行ってるから。
どんなパンを買おうかな。
どんなパンがあるんだろう。
私は初めてのことに少しドキドキしながら階段を下りてパン屋さんが来る場所に向かう。
でも、あと少しって時、私の口はあんぐりと開いたまま塞がらなくなった。
だって、そこには長蛇の列が出来上がっているから。
いつものようにのんびり片付けと準備をして来たけど、もっと急ぐべきだった。
でも、こうして呆然としている間にも列は長くなってる。
とにかく並んで待たないと。
「あ、弁当作る時間なかったん?」
先に買って、列の向きと反対方向に歩いていた人が突然話しかけてきた。
私じゃなくて別の人にだと思ったけど、顔を見て和希だったから私だって分かった。
「あ、うん・・・」
私はなんだか少し恥ずかしくて、目を合わせずに答えた。
「そっか・・・あげる」
目の前に差し出されたのは、3つのパン。