たった一度きりの青春は盛りだくさん
「やだなぁ。
いくら私でも学校の中では迷子にならんって」
ちょっと大げさに言いすぎたかな。
学校の中の、行ったことある場所なら、迷子にならない。
これが本当の正解だ。
「よねぇ」
笑子ちゃんはサンドイッチの最後の一口を口に入れて言った。
「それにしても珍しいね。
佐藤いっつも弁当持ってきとんのに」
森くんは椅子に座った私が机に置いたパンを見て言った。
「うん。
今日はお弁当作る時間なかったけん」
正直に言うと何人かが目を丸くした。
あれ、私何か変なこと言ったっけ。
「佐藤って始発列車乗りよんやろ?
やのに自分で弁当作りよんや」
あ、そっか。
私、つい本当のこと言っちゃったんだ。
「うん、まぁ・・・」
「共働きとか?」
今度は笑子ちゃんが食いついてきた。
共働きと言っても過言でもないけど、実際には違うかな。
どう言えば可哀想って思われずに済むのかな。