たった一度きりの青春は盛りだくさん
私はさっき起こったばかりの出来事を笑子ちゃんに説明する。
「なんか、俺の中の白石像が崩れていきよんやけど」
お弁当箱の片付けが終わってコンバスを運んできた森くんが言った。
聞かれてたんだ。
ってか、森くんの中の和希ってどんな感じなんだろう。
「それってさ、やきもちやない?」
笑子ちゃんは私に顔を近づけて小声で言った。
カレーパンを食べてる私は、におわないかな、なんて心配をしながら考える。
和希がやきもち、ねぇ。
「・・・ないね」
だって、いくら幼なじみでも男子と女子だし、それぞれ同性の友達と遊ぶことは今までにたくさんあった。
でも、『あーそーぼ』って家に来た和希に『ごめん、今日は〇〇ちゃんと遊ぶ』って言っても、普通に帰っていってたもん。
「和希はやきもちをやくタイプじゃないよ」
「それは、奈々ちゃんが知ってる今までの白石くんやろ?
白石くんは高校生になって変化があったのかもしれないじゃん」
相変わらず小声で話し続ける笑子ちゃん。
今日は練習しないつもりだな、これは。
「いやいや、いくら変化があっても、私たち幼なじみよ?」
別に何もないんだから聞かれても問題ないのに、何故か私も小声になってしまう。
笑子ちゃんは私の言葉に目をキラーンとさせた。