たった一度きりの青春は盛りだくさん
お母さんは紅茶が大好き。
病院の売店に売ってあるから時々買って飲んでるとはきいていたけど、美味しいのかな。
なんか、病院のってあんまり美味しくないイメージがある。
「はい、どうぞ。
ちゃんと美味しいけん安心して飲みね」
やっぱりお母さんは私のことはお見通し。
考えてることなんでも分かっちゃうんだ。
「いただきます」
和希が一口飲んだのを見て、私もカップを持って口に運んだ。
紅茶のいい香りと、ミルクと混ざってちょうどいい甘さの液体がスムーズに流れ込んでくる。
「ね、美味しいやろ?」
「うん、おいしい!」
お母さんの言葉に迷わず笑顔で答えた。
するとお母さんはまた立ち上がって、着替えが入ってる棚の引き出しを開けた。
もしかして、洗濯物がたまってるとかかも。
いつもならお父さんが頼まれるけど、たまに私が頼まれることもあるから。
「これ、気に入るかどうかわからないけど高校の入学祝い」
だけど、私と和希に差し出されたのはラッピング袋だった。
和希のは青で、私のは黄緑。
小さい頃からこの色で私たちは色んなものを分けてきた。
最初は私はピンクだったんだけど、女の子らしいのが嫌だった私は拒否したんだよね。