たった一度きりの青春は盛りだくさん
「あ、佐藤」
ホームに出ようかどうか迷ってると、ベンチに座ってる人に声をかけられた。
びっくりして振り返ると、そこにいたのは森くん。
宿題をしていたみたいで、膝の上には教科書とプリントがある。
「びっくりしたぁ。
そっか、森くんも今日は放課後何もないもんね」
「当たり前。
俺ら同じ部活なんやけん」
そう、当たり前のことなんだけど、私の頭にはそんなことなかった。
こういうとこが抜けてるんだろうなぁ。
「隣、来る?」
森くんが少しずれて座るスペースを作ってくれた。
電車が来るまであと15分。
立って待つには長いし、断る理由はない。
「うん、ありがとう」
私は迷わず森くんの隣に腰をおろした。
私も、少しでも宿題をしようかと思ったけど、鞄を下に置くのは嫌だからやめた。
「変なこときいても良い?」
森くんはプリントの問題を解きながら言った。
2つ以上の行為を一度にできるなんてすごいなぁ、なんて関心しながら私は『うん』と頷いた。
「・・・佐藤って、白石のこと好きなん?」