たった一度きりの青春は盛りだくさん
私は、森くんの言葉に思わず固まってしまった。
そして、次の瞬間には森くんの顔を凝視してしまった。
そういえば、昼休みに笑子ちゃんに言われたっけな。
和希が私のことを好きとかなんとかって。
あの時はありえないって思ったけど、今度はそうはならなかった。
だって、私は和希のことを嫌いじゃないから。
でも、多分それは森くんが思ってる好きとは違う。
私の好きは友達として、幼なじみとしての好きだと思うから。
「佐藤?ごめん、変なこときいて」
森くんは私の顔の前で手をひらひらさせながら、申し訳なさそうに言った。
ううん、森くんはちゃんと前もって言ってくれてたんだから、悪くないよ。
「いや・・・大丈夫。
森くんの言う好きって、和希のことを男子として好きかどうかってことよね?」
一応、確認しておこう。
そうじゃないとなんだかモヤモヤする。
「うん、そう。
幼なじみとか友達とか、そういう好きとは違う好きってこと」
やっぱりそうだよね。
わざわざきくんだから、そうじゃないと変だもん。
「それなら、私は和希のことを好きじゃないと思う。
もちろん、幼なじみとしては大好きだけどね」
私は頑張って口角を上げながら答えた。