たった一度きりの青春は盛りだくさん
「もしあったら琴音にも買ってくれん?」
制服のシャツを引っ張りながら言われた。
普段はあまり甘えてこない琴音だから、こういうのは新鮮。
それに、きっといつも私の知らないところで辛い思いをしているんだろうな。
「うん、良いよ。あったらね」
私は迷うことなく頷いた。
「いらっしゃいませー」
私がカゴを取っている間にカートを持ってきてくれた琴音。
小さい頃は、私が琴音の役割をしていたなぁ。
「飴のとこ先行こ」
さくら飴の話をしてから琴音はすごく元気。
あの飴は確かにすごく美味しかった。
味にドキドキしたけど、さくらんぼ味だったしね。
「えっと・・・あ、お姉ちゃん、これ」
琴音が目を輝かせて指さしたのは、まさにさくら飴。
袋は見たことなかったけど、期待を裏切らない。
袋もちゃんと桜色で、桜のイラストが描いてある。
「2つ?」
「うん、2つね。
和希の分と、琴音の分」
私が言うと、琴音はさくら飴を2袋カゴに入れてくれた。