たった一度きりの青春は盛りだくさん



「和希ってそんな飴食べるっけ」


うわぁ、この言葉、今日だけで3回目だよ。


ってか、お兄ちゃんが普通に反応してくれて逆に助かった。


なんか、森くんにあんな話されたせいで意識しちゃってるから。


「欲しいって言われたんやもん。

今日パンもらって、そのお礼に」


「パン?あぁ、昼ごはんか」


お兄ちゃんはパンに納得して、飴にはそれ以上興味を示さなかった。


元々そんなに興味はなかったのかな。


深くきかれたら達川くんのことまで説明しないといけなかったから良かった。


「うん。荷物部屋に置いてくるね。

あと、今日の晩ごはんは私が作るけんね」


必要はないけどお兄ちゃんに宣言して、階段を上がる。


そのまま渡すのもなんだか気が引けるから、後で簡単にラッピングしようかな。


豪華にする訳じゃないから、道具はたくさんある。


昔から工作系はわりと好きだから、楽しみかも。


―――ブー・・・ブー・・・


机の上に飴を置いて鞄をしまってカーテンを閉めていたら、帰りの電車で電源を入れて、通学鞄の中に入れっぱなしになっていたケータイが震えだした。


まだ鳴ってるということは、電話だ。


私は急いで部屋の電気をつけてケータイを手にとった。


「はい!」



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