たった一度きりの青春は盛りだくさん
急ぎすぎて声が裏返っちゃった。
しまったな、相手の名前も確認せずに出ちゃった。
『もしもし、奈々?
俺・・・和希やけど、今大丈夫?』
あ、良かった、和希だ。
知らない人だったらどうしようかと思った。
「うん、ちょっとやったら。
晩ごはんの準備せないかんけん」
『部活ないんほんとやったんやね。
あのさ、父さん残業で、母さんはばあちゃんが体調崩して様子みに行くけん今晩おらんらしいんよ。
やけん、俺と遥、今日の晩ごはん食べに行って良い?』
なるほどね。
メールじゃなくて電話にした理由が分かった。
私の場合、メールだとすぐに見ない可能性があるもんね。
今の時間だと、遥ちゃんは帰ってる可能性が高いし、今から電車に乗るくらいの和希が家に着くのは約1時間後。
兄としては焦るよね。
「うん、私は大丈夫だけど・・・。
ちょっとこのまま待って、お兄ちゃんと琴音にもきいてみる」
お父さんにはきかなくても、私たちが良ければ基本大丈夫だよね。
私は部屋の電気を消して階段を急いで下りる。
お兄ちゃんと琴音は居間で2人仲良くテレビを見て笑っていた。