たった一度きりの青春は盛りだくさん

隠し場所




―――ピンポーン・・・


お父さんが帰って来てから少し経って、家のチャイムが和希が来たことを知らせてくれた。


遥ちゃんはあの電話のあとすぐに来たから、今は琴音の部屋で2人で過ごしてる。


今日、琴音はやっぱり学校を休んだみたいで、遥ちゃんはすごく心配してくれてた。


「はーい」


ごはんの支度をお父さんにバトンタッチしてから私は玄関に向かった。


家には寄らずにそのまま来たみたいで、和希は部活の道具が入ってる鞄も持っていた。


「あ、雨降りだしたんや」


合羽を着て鞄をビニール袋に入れてる和希を見て知った。


大雨だったら音で気づくけど、静かに降られたら気づかないもん。


まぁ、基本的に梅雨の時期は外に洗濯物は出さないようにしてるけど。


「うん、電車降りたら降りだした」


さすが、私も和希も雨を呼ぶ人なだけある。


昔から『雨女と雨男やねぇ』なんて言われてたもん。


「合羽脱ぎよって。

タオル持ってくるけん」


和希に返事もさせずに私は家の中に戻って居間に入る。


居間ではお兄ちゃんがテレビを見ていて、私の急ぎようにびっくりしたみたい。


「え、何、和希濡れとん」


「雨降りだしたみたいで、合羽着て帰ってきた」



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